第10章 EIQ分析の読み方例(EX0)

Ⅰ例題EX0(第15章EIQ分析例題)のEIQ分析結果の読み方

  • 実践的な分析解説: 本章では、具体的な例題である「EX0」のEIQ分析結果を用いて、これまで学んだ分析手法の読み方を実践的に解説します。

  • 第15章との連動: 引用されている表番号や図番号は、第15章に掲載されているExcel例題「EX0」のものと対応しているため、併せて参照する必要があります。

  • 既習内容の集大成: これまでの章(ABC分析、度数分析、PCB分析)で説明に用いられたデータも、すべてこの「EX0」に基づいています。

用語の定義: 配送センターシステムは一般に、以下の用語を状況に応じて混同して用いる。

  • 注文件数 =出荷件数
  • 注文種類数=出荷種類数
  • 注文量 =出荷量

Ⅱ 例題EX0

本データは1日の注文伝票(または出庫伝票)に基づいた数値であり、配送センター計画の起点となる基本量を示しています。

  • 注文件数 (E): 12件(12軒)であり、これは出荷件数と同義です。

  • 注文種類数 (I): 33種類であり、出荷種類数(アイテム数)を指します。

  • 全注文量 (Q): 1,678ケースです。これは全出荷量(GQ)を意味します。

  • 全注文点数 (EN): 166行(出荷延べ行数)です。

  • 在庫特性:

    • 在庫種類数 (ZI): 37種類(EIQ表より算出)。

    • 在庫量 (ZQ): 本データ上では不明です。

      • III. EIQ表(表2、表3)

        EIQ表の並べ替えと配送センター特性の可視化

        • 表の構成とソート: 表2(基本EIQ表)を、注文量(EQ)の多い顧客順、および出荷量(IQ)の多い品目順に並べ替えたものが表3(EQ順・IQ順ソート表)です。

        • データの集中傾向: 並べ替えを行うことで、注文量の大きい主要なデータが表の左上端に集まり、注文量の小さいデータが右下へと流れる構造になります。

        • 在庫と出荷の乖離: 表3の下段(IQ行)を確認すると、在庫種類37種類のうち、実際に注文があったのは33種類であり、残りの4種類は出荷量が「0」であったことが明確に示されています。

        • 特性の把握: このようにEQ順・IQ順にソートされたEIQ表は、特定の顧客や品目への偏りなど、その配送センター固有の物流特性を視覚的かつ定量的に捉えるのに非常に有効です。

IV. EIQNK表(表6)

EIQNK表の構成と集計・整合性

表6(EIQNK表)は、注文データに延べ行数(EN)および重複数(IK)の集計を加えたもので、物流特性をより詳細に数値化したものです。

  • 最大値の特定:

    • 顧客別(E6): 客先E6が最大の注文量(365ケース)であり、16種類(EN=16)の商品を注文していることが示されています。

    • 品目別(I5): 種類I5が最大の出荷量(267ケース)であり、11軒の客先(IK=11)から注文を受けていることが分かります。

  • データの集計(右端・下段):

    • 右端(顧客軸): 各顧客の注文数量(EQ)と注文点数(EN)が並び、全合計はそれぞれ1,678ケース(GEQ)、166点(GEN)となります。

    • 下段(品目軸): 各品目の出荷数量(IQ)と注文重複数(IK)が並び、全合計はそれぞれ1,678ケース(GIQ)、166(GIK)となります。

  • 数値の絶対的整合性:

    • 数量の不変性: 注文数量と出荷数量は等しいため、GEQ = GIQ = 1678(GQ)となります。

    • 点数の不変性: 注文点数(延べ行数)と注文重複数は等しいため、GEN = GIK = 166 となります。

V. EQ分析

1. IQ分析(品目別出荷量のABC分析)

出荷種類ごとの出荷量(IQ)の偏りを分析し、在庫配置やピッキング手法の検討材料とします。

  • 集約性の把握:

    • 上位4種類(全33種類中10%)で、全出荷量の約**55%**を占めています($I_{10}$で$IQ_{55}$)。

    • 上位8種類(22%)で、全出荷量の約**82%**を占めています($I_{22}$で$IQ_{82}$)。

    • 注:全37種類のうち、4種類は出荷が「0」でした。

  • グラフ特性: IQ棒グラフは4段階程度にステップ状に減少しており、段階的なABC分類が明確に現れています。

2. IQ度数分析(出荷規模の分布)

品目ごとの出荷ボリュームの分布を分析します。

  • グループ化: 出荷量100ケース以上の大口品目が6種類(16%)存在します。

  • 全体傾向: 「1〜10ケース」「10〜70ケース」「100ケース以上」という大きく3つのボリュームゾーンに分けられる特性を持っています。

3. IK分析(品目別注文重複数の分析)

各品目が、1日の全注文(12件)のうち何件の顧客から注文されたか(ヒット件数)を分析します。

  • ヒット件数の分布(IK度数分析):

    • 少量拡散型: 1〜3件の顧客からしか注文されない品目が17種類あり、全種類の約50%以上を占めています。

    • 高頻度型: 10〜19件(実質10〜12件)の顧客から広く注文される品目が6種類(18%)存在します。

VI.オーダー・サイズ

  • オーダー・サイズの特性と客先別分布

    • 定義と多様性: オーダー・サイズとは「特定の顧客」が「特定の品目」に対して発注する数量を指し、その数値は極めて多種多様です。

    • 度数分布による把握: 客先ごとにオーダー・サイズの度数分布表を作成することで、その顧客がどの程度の数量範囲で発注しているかの実態を把握できます。

    • 顧客規模との相関: 一般的に、総注文量(EQ)の多い大口顧客はオーダー・サイズも大きく、注文量が少ない顧客はオーダー・サイズも小さい傾向にあります。

    • 小口注文の混在: ただし、大口顧客であっても、すべての明細が大口とは限りません。大口顧客の注文の中にも「1ケース」といった極めて小さいオーダー・サイズが含まれる点に注意が必要です。

VII. EN分析

  • EN度数分析(表8): 各客先が33種類中、何種類注文しているかの度数分析である。注文点数EN=10以上が10軒を占めており、各客先の注文点数は10~20点と割りと多い数値を示す。

VIII. IQ分析(表5):出荷量ABC分析

出荷種類数 I = 33 種類、全出荷量 GIQ = 1678 ケース。

  1. 集約度: 出荷種類33種類中上位4種類(10%)で全出荷量の約55%(I10でIQ55)、8種類(22%)で約82%(I22でIQ82)を占める。注:37種類中4種類の出荷は0である。
  2. IQグラフ(図3): 棒グラフが4段階程度にABCと段階的に少なくなっている。ΣIQ曲線(図4)は累積値を示す。
  3. 出荷量IQ度数分布(表8): IQ100ケース以上が6種類(16%)存在する。全体的には1~10種類、10~70,100以上と大きく3つのグループに分けられそうである。

IX. IK分析:注文重複数

  • IK度数分析(表8): 各種類が何件から注文されているかの分析である。IK=1~3で17種類(約50%以上)、IK=10~19が6件(18%)を示している。

X. オーダ・サイズと客先特性

オーダ・サイズは各客先の各種類に対する注文量の大きさであり、数値は大小様々である。一般には、注文量の多い客先のオーダ・サイズは大きく、少ない客先は小さいと言えるが、大口客先でも1ケースというような小さいオーダ・サイズが含まれる点に注意が必要である。

XI. DCサイズ・DCスケール

物流拠点の拠点規模(ポテンシャル)を定量的にはかる指標として、以下の計算が用いられています。

配送センター拠点規模(DCサイズ)の計算構造イメージ