はしがき

はじめに

本講座は、物流改善におけるEIQ分析の導入を検討している方や、ABC分析以外の分析手法を学びたい方向けの実践的なガイドです。

  • 基礎から応用まで: 各章で事例を用いた解説を行い、分析の「読み方・考え方」を習得できます。
  • 実践的なExcel活用: 第15章では、Excelを使用した具体的な分析例(例題EX0)を掲載しています。
  • 計画への展開: 分析結果をどう解釈し、どのように配送センターのシステム計画へと反映させるか、その一連の流れを体系的に理解できる構成となっています。

Ⅰ データ分析結果を読む

データ分析はよく行われますが、分析結果を見ているだけでは不十分です。大切なのは、その結果をどのように読み、どのように活用するかを考えることです。

「データを見よう、読もう、考えよう。」

Ⅱ データを読み易くする

設計手法の選択

  • ABC分析: 重点管理項目(売れ筋や重要顧客)を特定します。
  • 度数分析: データのバラつきやボリュームゾーンを把握します。
  • EIQ分析の適用: 注文(E)、品目(I)、量(Q)の3つの軸でデータを整理し、多品種少量なのか、大口顧客中心なのかといった現場の特性を浮き彫りにします。
  • グラフ化(可視化): 数値表では気づけない急激な変化や特異なデータを直感的に理解できるようにします。

Ⅲ どのように分析結果を読むか

配送センターを設計する際、主観や勘に頼ると、設備の過不足や作業効率の低下を招きます。

1. センターの「器」を決める基本分析

  • 出荷量の変動分析: 最大在庫量(器の大きさ)と、出荷のピーク(人員配置)を算出します。
  • 在庫回転率: 商品がどれくらい滞留するかを把握し、保管効率を設計します。

2. EIQ分析による判断

配送センター計画において、EIQ分析は「動線」や「自動化」の判断基準となります。

Ⅳ データ・クッキング(Data Cooking)

データをピッキング効率化に活用するための「工程(レシピ)」を整理しました。

1. 下ごしらえ:データの分類

  • トータルピッキング用: 全受注を合算し、棚からまとめて持ってくるためのデータ。
  • オーダーピッキング用: 顧客ごとの梱包単位に分かれたデータ。

2. 味付け:最適化

  • ロケーション順の並び替え: 最短動線を構築し、作業者の無駄な歩行を排除します。
  • 重量物の先配置: 梱包を安定させるため、リストの最初に重量物を配置します。

3. 盛り付け:視認性

数量を太字にする、箱単位とバラ単位を色分けするなど、読みやすさをミスの防止に直結させます。

クッキング前(生データ) クッキング後 現場での効果
受注順のリスト 動線順のリスト 歩行距離の短縮、疲労軽減
全品目フラットな表示 重要・特殊品の強調 誤出荷の削減、検品効率アップ
複雑な数値表 直感的なグラフ・図解 新人スタッフの即戦力化

Ⅴ データ分析結果に対する考え方

データ分析は、過去を知ることから未来を予測するステップへと進化します。

  1. 過去を知る: 何が起きたかを確認する(例:出荷件数の増加)。
  2. 解釈する: なぜ起きたかを推定する(例:キャンペーンや季節需要)。
  3. 予測する: 次はどうなるかを予測し、人員や在庫の仮説を立てる。